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池田和弘のブログです。
日常の出来事から英語の新たな発見などをお伝えいたします。
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日常の出来事から英語の新たな発見などをお伝えいたします。
2013年10月7日
私が2年ほど前に教えた学生で、
入学時TOEIC400点から遊びながら3年で780点をクリアーした人がいます。
遊びながらといっても、「英語と遊びながら」ですが、
その学生の学び方にはヒントになる点がたくさんあります。
私たちは英語の勉強と言うと、どうしても身構えてしまう傾向があります。
それはおそらく、中学・高校を通じて、テスト、テストと追い立てられるからでしょう。
そこに「文法解説」が入ると、ほとんどの人が“固まって”しまいます。
しかし、この学生は英語たいして身構えていませんでした。
それどころか、英語の勉強を楽しんでいました。
その極意は、「つかず、離れず、楽しく」です。
彼女も高校のときには、文法がさっぱり分からなかったそうですが、それはそれとして割り切って、
自分の好きな映画やドラマを英語を観て、セリフを暗唱したそうです。
それも、片っ端から全部覚えるというのではなく、「覚えたい」と自然に思ったところ、
つまり、「心の動いたところ」を何度も練習したそうです。
ここで注目すべきなのは、彼女が決して「完璧」を目指さなかったということです。
私たちは、「テストに包囲されて」英語を勉強するため、どうしても完璧を目指そうとします。
つまり、細かいところまできちっと勉強して「100点」をとらないといけないと思い込んでいるわけです。
しかし、これは人間の頭の働きには合っていません。
人間の頭の働き方はもっと「気まぐれ」です。
つまり、「気分がのる時」と「のらない時」があります。
この学生は、この点を無意識のうちに理解して、決して無理をせずに英語を勉強したという訳です。
2013年10月1日
皆さん、
どうやら涼しくなる気配がしていますが、油断はしないでおきましょう。
台風も近づいているようですし。
さて、英語の苦手な人に一言。
決して希望を捨てないで下さい!
あなたが、それなりに日本語を読んで話せるのであれば、英語は必ず分かるようになります。
いや、分かるどころか「楽しめるもの」になります。
すでにお話したとおり、私が「学習者に優しい」を追究する理由は、
他でもない私自身が、英文法の勉強で砂を噛むような虚しい思いをしたからです。
英語がそれほど重要な科目でなければ、多少はそんな人がいるのも仕方ない・・と言えるのかも知れません。
しかし、実際には、私たちは必ず英語を学ぶことになります。
その学習が苦痛である、あるいは、非実用的でお話にならない、というのは、絶対にあってはならないことです。
だれもが通訳者のような英語力を身に付けられる訳ではありませんし、その必要もありません。
しかし、少なくとも英語を学ぶ限り(or 学ばされる限り)、
「ああ、英語を学んで楽しかった」「英語って面白い」といった体験ができるということは、とても大切なことです。
なぜなら、
そういったポジティブな体験は、人の心を活性化し、元気にしてくれるからです。
もし、ひとりでも多くの人がそういう体験をすることができれば、この世の中の“幸福値”がわずかでも上がるはず・・・
それが、「学習者に優しい」(learner-friendly)というコンセプトの原点にあります。
2013年9月29日
この8月11日(2013年)、学生たちとオーストラリアへホームステイ&語学研修に出かけました。
ケアンズ経由でゴールドコーストに向かい、そこでホームステイしながら、
グリフィス大学という公立大学の付属の語学学校で授業を受けるというものです。
しかし、行きの飛行機で早くも、予期しない出来事がありました。
――――――
現地までは乗り継ぎも入れて15時間。
空気枕だのアイマスクだのでふくれ上がったバッグをかかえて飛行機に乗り込む。
同じエコノミーだが、学生たちは後部の座席へ。
自分の座席を確認すると、二人がけの、通路側。
隣席を見ると・・
なんと、メガネをかけた女の子が座っている。
大学生だろうか。
隣がおじさんだったら嫌だな・・
(自分がおじさんのくせに)そう思っていたので、少し緊張がやわらぐ。
ほどなく飛行機は空港を離陸し、夜の闇の中へ。
離陸後しばらくすると仮眠時間になり、ごそごそと“装備品”を用意しつつ、隣の子を見ると、すでに眠る体制に入っている。
座席の上で両足を抱え、薄手の赤いダウンジャケットにくるまり・・。
彼女が何度か通路に出るとき、「いつでもいいですよ」と丁寧に声をかけてあげる。
そのまま何も話さず数時間。
それが・・・
ケアンズまで1時間程度になったとき、なんと、彼女の方から私に話しかけてきた。
「どこに行かれるのですか?」
私 「ゴールドコーストです。あなたは?」
「ブリスベンです。」
私「旅慣れしていますね。」
「いえ、これがはじめての海外旅行です。」
私「えっ」
さらに驚いたことに、彼女は学生ではなく、高校を卒業して働いていたという。
それが、この夏、ワーキングホリデー(注)でオーストラリアに行くことに決めた、と。
―――21歳。
なぜ?ひとりで?
やがて機が高度を落とし始めると、それまで落ち着いていた彼女が、
入国カードや持ち物を何度も何度もチェックしはじめる。
ときどき不安そうに窓から外を見ながら。
ケアンズに到着。
席を立つ直前に名前を伝える。
英語の勉強で困ったらネットで検索してみて。
「話のタネに」の一言がすぐあとに続いた。
飛行機とターミナルをつなぐ通路で学生達を待ったたくさんの人たちが目の前を通り過ぎていく。
その中に混じって彼女が。
通り過ぎたあと、しばらくして、急ぎ足で戻ってくる。
「気づきませんでした。すみません。ありがとうございました。」
私「気をつけてね。Good luck!」
しばらくすると、ガヤガヤと学生たちがやってきた。
さあ、君たちにも“Good luck.”と言わせてもらおうか。
―――――――
じつは、私も、学生のとき、この地を訪れたことがありました。
それから30年、ずっと「学習者にやさしい」英語の学習方法を求めてきたわけですが、
彼女の姿に、若き日の自分の姿が重なりました。
あなたにも、“Good luck.”という言葉を贈ります。
※ワーキングホリデー:1年間、働きながら英語の勉強ができる制度。