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池田和弘のブログです。
日常の出来事から英語の新たな発見などをお伝えいたします。
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日常の出来事から英語の新たな発見などをお伝えいたします。
2015年1月19日
※11月11日にご紹介したTrueNorthというコンピュータと英語教育の関係についてお話します。
(画像提供:IBM)
これまでの英語教育では文の規則、つまり文法を教えることが大前提とされていました。
言葉には規則がある、だから・・・という発想です。
実際、これまでのコンピュータを見ると、まずプログラムというものがあり、それを実装することで、
複雑なタスクを驚くような速度と正確さで実行します。
そういった実例から考えても、文法を教えることは必須であるように思えます。
しかし、これはあくまでもコンピュータ型の発想であって、人間型の発想ではありません。
TrueNorthが画期的なのは、“脳型”という点にあります。
つまり、このコンピュータはプログラムを必要とせず、人間のように試行錯誤を繰り返しながら、自律的に学び、進化していくことができるのです。
プログラム無しに自律的に学ぶわけですから、このコンピュータの出現は、「文法(プログラム)」を前提に置くこれまでの英語教育に、大きな発想転換を迫ることになると考えられます。
2014年12月8日
前回に引き続き、国内で実用的な英語をマスターした人の勉強方法についてお話します。
彼女の取った1つ目の勉強方法は、まず映画やドラマを日本語で観て、イメージをしっかりとつかみ、
そのあと、自分が身に付けたい、使いたいと思った表現を(日本語と比較しながら)徹底的に練習して覚えると言う方法です。
もうひとつの方法は、「ディクテーション」でした。
それも、教科書的な文章のディクテーションではありません。
映画やドラマなどの“生の英語”をダイレクトに素材として使ったということです。
これは言うのはやさしいですが、実行するのはそう簡単ではありません。
しかし、私が「これは尋常ではない」と思ったのは、彼女はそのディクテーションを画面を見ずに行ったというのです。
つまり、耳だけで音を聞き取り、ノートに書く練習をしたというのです。
理由を尋ねると、画面を見てしまうと(何度も観ているので)どうしても何を言ったか思い出しやすくなるので、
見ないようにして行ったということでした。
この徹底ぶりには、唖然とするしかありませんでした。
しかし、妙に納得もできました。
これだけのことを続ければ、確かに十分に仕事をこなせるレベルになるだろう、と。
ちなみに、彼女は中途半端なネイティブの文章であれば、文字通りズタズタに訂正してしまうだけのセンスを持っています。
これは、彼女の英語力そのものが高いという点ももちろんあるのですが、
やはり論理思考力や文章にたいする感性がきわだって優れているからです。
では、その思考力や感性はどこから来たのでしょうか。
答えは、やはり「国語力」です。
日本国内という限られた環境で英語を使えるレベルにするには、母語(日本語)をうまく活用することが必須なのです。
これまでの私の教授経験でも、「国語力」(※)がある生徒と言うのは、たとえ英語で困っていても、
比較的容易に助け出すことができます。
たとえば、英語の偏差値が45~50程度でも、国語力があり、本人にやる気があれば、半年もあれば60ぐらいにはできます。
最後に、このたび彼女と話していて、大きくうなずいたのは、
「英語はもともと好きでしたので中学ではそれほど勉強に苦労はしませんでしたが、
じつは高校で一度落ちこぼれかけました」という下りでした。
私は反射的に「文法ですね?」と聞き返しましたが、彼女の答えは・・・察しがつきますね。
いずれにせよ、彼女の勉強方法はとても実践的ですので、ぜひ参考にしていただきたいと思いますが、
初心者の人やすでに英語でとても困っている人が、いきなり“生の英語”と取り組むのはなかなか難しい面もあります。
また、文法となると、大学レベルの教材でもまだ5文型や分詞構文などといった古い発想の文法が使われているケースが多いです。
これらの点を踏まえ、英語の初心者や英語で困っている人が「復活のための一歩」、「自信をつけるための一歩」、
さらに世界と伍することのできる「未来への扉を開く一歩」を確実に踏むことのできる教材群の開発と普及、それが私の夢です(※)。
(※)近々に、「リッスントーク」という、強力な英会話教材を発表する予定です。ご期待下さい。
2014年12月2日
かつて、私のアシスタントをしてくれた人に、日本で英語を学び、仕事で使えるレベルにまでマスターした人がいました。
彼女に、海外の留学経験・居住経験はなく、英会話学校にも週1回1時間、数か月程度ほど行ったことがある程度で、ほぼ100%自学です。
しかし、彼女はTOEICで985点を取っているだけでなく、会話もかなり流暢にできます。これは驚くべきことで、以前にも触れたとおり、TOEICで800~900点を持っていても会話ができなくて困っている人が世の中にはたくさんいます。
TOEIC用の対策勉強をしたところで、行きつくところはその程度です。その点、彼女は「得点を上げるコツ」などには目もくれず、会話力を含めた、英語の実力そのものを伸ばすことによってスコアを上げており、素晴らしいとしか言いようがありません。
さて、日本ではたくさんの人達が英会話にあこがれながら、その夢を実現できずにいるのに、いったい彼女はどのようにして海外にも行かずに英語を仕事で使えるレベルにまでマスターしたのでしょうか。
本人に聞くと、2つの方法を重点的に行ったという事でした。
ひとつは、自分の好きな映画やドラマを見て、あんなふうに英語で言いたい、あんな英語が使えたらクールだ・・と思ったセリフを徹底的に真似して覚え込んだそうです。 映画やドラマが優れている点は、視覚・聴覚を使って、完全に没入できるという点です。 つまり120%の集中が起こる ということです。しかも、それが苦痛でなく、楽しいわけですから、ある意味で理想的な学習方法といえます。
さらに、ここで彼女のセンスのいいところは、決して「英語を英語で理解する」などと非現実的なことを考えず、まず日本語字幕で全体の流れをしっかりと理解し、その上で英語で言いたい感じた箇所を徹底的に攻めたという点です。 つまり、まず「日本語ありき」の発想、「日本語→英語」の発想で勉強したという点です。 「何かを言いたいと思ったときには、まず日本語で考えている」、「日本語で分からない事が英語で分かるはずがない」 ―― 彼女はこの点を何度も繰り返していました。
これは私の理論とも完全に一致しています。 彼女の、この勉強方法を継続するのは簡単ではありません。 “生の英語”は、当然ながら非常に速く、聞き取り辛いですし、知らない単語や言い回しがつぎつぎと出てくるから です。
しかし、今はIT技術が非常に発達していて、彼女のころ(15年ぐらい前)に比べれば比較にならないほど学習 環境が整っていますので、ぜひこの話を参考にしていただければと思います。
彼女が実行したもう一つの勉強方法については、次回にお話したいと思います。