池田の英語学習理論

学習理論

池田和弘が、最先端のものを中心に、様々な英語理論を語ります。

言語学や脳の情報処理の観点から、

効果的に学習できる方法などをご紹介します。

英単語は爆発的に増やせる! ①  

2015年4月27日

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英単語は爆発的に増やせます。

そして、英単語が爆発的に増えると、(当たり前のことですが)

英語は格段にやさしく見えるようになります。

 

さて、ではどのような方法で増やすのかというと、先日、

産経新聞の全国版でも紹介されましたが、和文脈を利用するのです。

 

“和文脈をうまく利用すると、ごく普通の人でも100語/週なら簡単に、

150語/週でも少し頑張ればそれほど苦労せずに覚えることができます。

 

150語/週というと、ひと月にすると600語/月にもなりますが、

この程度はだれでも覚えることができます。

 

つまり、上位の大学に通るのに必要な6000語ぐらいであれば、

10か月もあれば余裕で頭に入ってしまうという事です。

 

そもそも、英単語というのは、①つづりと②音声と、③意味から

なっていますが、このうちもっとも難しいのは③の「意味」です。

 

「意味」というものは、幼いころからのあらゆる積み重ねがあって、

はじめて理解することができるようになるもので、

つづりのように機械的に20回あるいは30回書けば

それで覚えられるというものではありません。

 

日常生活や学校生活などにおける経験や学習を通じ、

また趣味などを通じ、幅広い“学習”を行って

はじめて、理解されるものです。

 

ところが、私たちは日本語による学習を通じて、

このステップをすでに踏み終わっています。

 

たとえば、「ドクター」というのがどういう職業の人で

どんなことをする人だかとか、「メディア(媒体)」というものが

どんなものでどんな働きをするとか、そういったことを

「すべて」+「すでに」知っているのです。

 

そうなると、あとは①つづりと②音声を覚えれば

終わりということになりますが、これらについては

それなりに適切なトレーニングをすると、

莫大な経験を積まなくてもだれでも身に付きます。

横割りのカリキュラム

2015年3月23日

今の中学・高校の英語学習カリキュラムの最大の問題点は何かと言うと、

それはもちろん、旧態然たる文法学習と文法演習なのですが、

もうひとつ大きな問題点があります。

 

そこさえクリアーすれば、文法の学習はかなり楽になるのですが、

その発想転換がかなり難しいのか、

それとも公的な教育機関では実施が難しいのか、

私自身は実践されている例を聞いたことがありません。

 

その問題点とは、「縦割り」のカリキュラムです。

 

つまり、文法は文法の時間に、

リーディングはリーディングの時間に・・・という発想です。

 

この「縦割り」の発想は、

とくに文法の学習にかなり大きなマイナスとなります。

なぜなら、文法の学習と言っても、

じつは「覚えないといけない事」がたくさんあるからです。

たとえば、中学校では、ほんの2週間から3週間の間に

動詞の変化を全部覚えないといけません。

カリキュラムがそうなっているからです。

 

しかし、これには明らかに無理があります。

人間の頭は、コンピュータのように「入れる=記憶される」

というようには出来ていません。

 

そのため、このようなカリキュラムに「耐える」ことができるのは、

そういった、ある意味で無茶な学習に適応できる生徒だけ

ということになります。

その結果どうなるかというと、

「動詞の変化表」を覚えきれない生徒が続出し、

致命的なハンディとなって後々まで悪影響を及ぼします。

 

この問題の解決法は意外と簡単で、

ようは短期間に無理に知識を詰め込まず、

重要な点については英語の各授業に分散させ、

中学の1年辺りから少しずつ、

何度も何度も繰り返しトレーニングしていけば良いのです。

 

つまり、「横割りのカリキュラム」にすれば良いのです。

 

このカリキュラムにはもうひとつの利点があって、

それは授業にメリハリがつくということです。

 

昨今は、生徒たちの集中力の続く時間が

どんどんと短くなっているといいます。

本当のところは私には分かりませんが、

これをスマートフォンや携帯の影響であるという特集が、

ニューズウィークの日本語版にありました。

 

このような事情にあって、カリキュラムを横割りにし、

まったく異なる学習を挟み込むと、生徒の気分も変わり、

授業の質自体が自動的に向上することが期待できます。

 

たとえば、大学の一般的な授業時間である90分というのは、

地獄のように長いですが、4種類ぐらいの学習を組み込むと、

あっと言う間に終わります。

――― 生徒だけでなく、講師にとっても。

 

中学・高校の授業時間は、これよりはるかに短いので、

たとえば50分授業で「横割りのカリキュラム」を

実施することは難しいかも知れません。

しかし、何らかの方法で情報を分散し、重要な項目については、

軽く何度も繰り返し学習できるように工夫をすると、

学習効果はまるで違ってきます。

 

最近は、公立の学校でも、

中高一貫の教育が行われ始めていますが、

そのようなケースでは、6年間にわたって情報を分散できるため、

非常に強力なカリキュラムを組み立てることができます。

 

(研究発表)

「時系列に沿った情報の分散による低負荷の文法指導方略について」

(2011) 大学英語教育学会

効果的な英語学習法:日本語の活用

2014年9月29日

40万人の人生を変えた英単語トレーニング

私は長年にわたって英語の教育手法を研究してきましたが、

それには「自分自身をどう訓練するか」という課題も含まれていました。

これまで、音読、多読、乱読、シャドーイングなど、

様々な方法を試してきましたが、

その過程で“絶対的”といえるいくつかの法則に気付きました。

そのひとつが、「日本語の活用」です。

 

これは英語学習の基本法則のひとつだと言えます。

なぜかというと、

日本語は私たちの思考や感情のベースとなっている言葉だからです。

こういった言葉を「母語」といいます。

 

母語がいかに重要な働きをしているかという点を実感することは、

普段はまずありません。

だから、つい「英語を英語を学ぶ」、

あるいは「英語で考える」といったことが、

容易にできてしまうような錯覚を持ってしまうのです。

しかし、その筋の専門分野、

つまり応用言語学(Applied Linguistics)や 教育言語学

(Educational Linguistics)の書物を見ると、

必ず書かれているのです。

— 外国語を、それが使われていない環境で習得することは、

極めて難しいと。

 

私たちが日本で英語を学ぶというのは、まさしくこれに当たります。

実際、このような学習については専門用語があり、

英語ならEFL(English as a Foreign Language)と言われます。

 

さて、EFLにおいて母語がどうして重要かというと、

私たちが英語の意味を理解するには、

結局のところ一度は日本語を通すしかないからです。

これにたいしては反論があるかも知れません。

確かにわずかな例外はあるかも知れません。

しかし、そのような場合でも、

無意識のうちに「日本語の回路」が働いているケースが

ほとんどだと思われます。

もしこの方面に興味のある方がいたら、

バイリンガリズム(Biligualism)についての書籍を

読むことをお勧めします。

 

とにかく、事実として、母語が私たちの思考や感情に対して

もつ支配力というのは、並大抵ではありません。

EFLなどという専門用語があるのも、

「母語」と「外国語」が全く異なるからです。

そのため、母語をうまく活用すると、

学習を有り得ないほど加速することができるのです。

 

たとえば、1か月に700~1000語程度の単語や熟語を

覚えることができるようになります。

このペースだと、たった2年間で16,800~24,000語ということになり、

語彙で不自由を感じることはまずなくなります。

万が一、仕事や研究でさらに1万語程度必要になったとしても、

1年あれば余裕で覚えることができるのです。

 

また、会話力も、英語だけで学習する場合に比べて、

4~5倍程度は早く、深く身に付きます。

いや、これは「1対ゼロの関係」といっても良いかも知れません。

なぜなら、英語だけを使って英語を話せるようになろうとすると、

途中で挫折する可能性が非常に高くなるからです。

リーディングもそうです。

英文を頭から区切って和訳を付け、

その上で英語と日本語を交互に読み下すようにすると、

見る見るうちに読解力が向上していきます。

(これは私の今までの教え子たちが証明しています。)

最近流行りのチャンク・リーディング(chunk reading)というのが、

これに当たります。

なぜこのような事が起こるのかと言うと、

脳が活性化された状態になるからです。

集中状態といっても良いかも知れません。

言葉というのは、究極的には「意味と音」から成っています。

日本語を利用すると、脳が活性化し、

このうちの「意味」の部分を効果的につかむことができるのです。

「意味」をおさえれば、

基本的にはあとは「音」を入れるだけのことになるので、

学習全体が加速されるのです。

これを英語だけで行おうとすると、

手間のかかる大変な作業となります。

 

是非、日本語を活用した効果的な英語学習を行ってください。