効果的な英語学習法:日本語の活用
2014年9月29日
私は長年にわたって英語の教育手法を研究してきましたが、
それには「自分自身をどう訓練するか」という課題も含まれていました。
これまで、音読、多読、乱読、シャドーイングなど、
様々な方法を試してきましたが、
その過程で“絶対的”といえるいくつかの法則に気付きました。
そのひとつが、「日本語の活用」です。
これは英語学習の基本法則のひとつだと言えます。
なぜかというと、
日本語は私たちの思考や感情のベースとなっている言葉だからです。
こういった言葉を「母語」といいます。
母語がいかに重要な働きをしているかという点を実感することは、
普段はまずありません。
だから、つい「英語を英語を学ぶ」、
あるいは「英語で考える」といったことが、
容易にできてしまうような錯覚を持ってしまうのです。
しかし、その筋の専門分野、
つまり応用言語学(Applied Linguistics)や 教育言語学
(Educational Linguistics)の書物を見ると、
必ず書かれているのです。
— 外国語を、それが使われていない環境で習得することは、
極めて難しいと。
私たちが日本で英語を学ぶというのは、まさしくこれに当たります。
実際、このような学習については専門用語があり、
英語ならEFL(English as a Foreign Language)と言われます。
さて、EFLにおいて母語がどうして重要かというと、
私たちが英語の意味を理解するには、
結局のところ一度は日本語を通すしかないからです。
これにたいしては反論があるかも知れません。
確かにわずかな例外はあるかも知れません。
しかし、そのような場合でも、
無意識のうちに「日本語の回路」が働いているケースが
ほとんどだと思われます。
もしこの方面に興味のある方がいたら、
バイリンガリズム(Biligualism)についての書籍を
読むことをお勧めします。
とにかく、事実として、母語が私たちの思考や感情に対して
もつ支配力というのは、並大抵ではありません。
EFLなどという専門用語があるのも、
「母語」と「外国語」が全く異なるからです。
そのため、母語をうまく活用すると、
学習を有り得ないほど加速することができるのです。
たとえば、1か月に700~1000語程度の単語や熟語を
覚えることができるようになります。
このペースだと、たった2年間で16,800~24,000語ということになり、
語彙で不自由を感じることはまずなくなります。
万が一、仕事や研究でさらに1万語程度必要になったとしても、
1年あれば余裕で覚えることができるのです。
また、会話力も、英語だけで学習する場合に比べて、
4~5倍程度は早く、深く身に付きます。
いや、これは「1対ゼロの関係」といっても良いかも知れません。
なぜなら、英語だけを使って英語を話せるようになろうとすると、
途中で挫折する可能性が非常に高くなるからです。
リーディングもそうです。
英文を頭から区切って和訳を付け、
その上で英語と日本語を交互に読み下すようにすると、
見る見るうちに読解力が向上していきます。
(これは私の今までの教え子たちが証明しています。)
最近流行りのチャンク・リーディング(chunk reading)というのが、
これに当たります。
なぜこのような事が起こるのかと言うと、
脳が活性化された状態になるからです。
集中状態といっても良いかも知れません。
言葉というのは、究極的には「意味と音」から成っています。
日本語を利用すると、脳が活性化し、
このうちの「意味」の部分を効果的につかむことができるのです。
「意味」をおさえれば、
基本的にはあとは「音」を入れるだけのことになるので、
学習全体が加速されるのです。
これを英語だけで行おうとすると、
手間のかかる大変な作業となります。
是非、日本語を活用した効果的な英語学習を行ってください。