和文脈を利用した単語記憶法について
2014年6月22日
和文脈の中に英単語を入れると、まるで手でつかむかのように単語を覚えることができる。
英文脈を使った方法ではこの感覚は決して起こらない。
とくに、英文とその訳を大きく分離して配置している場合には難しい。
私自身は苦心惨憺の末、英文脈を利用した記憶方法で週に250語前後のペースで単語を覚えたが、
その方法を本として出版しようとした際に、この違いに気づき、
かなり悩んだ末に、和文脈に英単語を入れ込むことを決断した。
私は、この記憶法を「スーパーリピート方式」と名付けた。
スーパーリピート方式にもとづく書籍は、中国語版、韓国語版を含めて10冊前後が出版され、
数多くのサイトで高い評価を得たほか、英語学習雑誌English Expressにおいてグランプリを得たりもしたが、
今では2冊が発刊されているのみとなっている。
時代の趨勢(すうせい)が、英文脈を利用した記憶方法へと大きくシフトしたのである。
私も、それを仕方のないことだと考えていた。
どう見ても、英文脈を利用する方法の方が「正統派」に見えるからだ!
日本人は「正統」や「常識」に弱い。
――― しかし、未だにいたのである、今でもこの方式を高く評価して下さる人達が。
その人達は、自身のブログの中や英語関係のスレッドの中で、
「先輩からこれが素晴らしく覚えられると教えてもらった」とか、
「とても覚えやすい」といったコメントをしてくれている。
私自身も、そのようなファンに何人かお会いしたことがある。
―――「見た目」ではなく、「効果」をしっかりと評価して下さっている。
とくに、2013年の終わり頃に私のフェイスブックに投稿があった、
この方式の英検2級版の復刻を望む一文を読んだときには、不覚にも目頭が熱くなった。
(※)英検2級版はこのたび内容を精査して、センター試験や受験英語、TOEIC600点、
さらには英語のやり直しをしたい方のために、バージョンアップし、
来月7月7日にi-phone用のアプリとして発売される予定である。
必須単語の100文は無料で学習できるので、試していただきたい。
さて、スーパーリピート方式で学習者が不安に思われる点が、
「正統派に見えない」(=キワモノに見える)という点以外にもう一点ある。
それは、英語と日本語とでは意味が異なってくるのではないかという不安である。
つまり、和文脈に英単語を入れると、ニュアンスの異なる意味を覚えてしまうのではないかという不安だ。
この不安はよく理解できる。どう見ても、日本語と英語は違う言葉だからだ。
しかし、じつはここには何の問題もない。
なぜなら、言葉のニュアンスは日本語でさえ、地域や年齢などによって異なるからである。
たとえば、”雪”という言葉ひとつとっても、東京都心と北海道の郊外の町では意味は大きく違ってくる。
英語で”雪”を意味する”snow”についても同じようなことが言えるはずだ。
また、そもそも単語集のみで言葉のニュアンスまでを覚えようとすること自体に無理がある。
単語集の働きは、言わば「ドアの取っ手」のようなもので、それをつかむことでドアが開き、
“屋外”、つまり“本物の英語の世界”に出ることができるようになるのである。
微妙な意味の違いについては、本物の英語に触れる中で覚えるのが“正当な方法”なのだ。
そうなると、ヘタに人工的な英文脈を使ってチマチマ覚えるよりも、和文脈を使って短期間に爆発的に語彙を増やし、
さっさと本物の英文に触れていく方がはるかに効果的な学習ができる。