私を驚かせた男子生徒

2014年3月8日

予備校の講師をしていたときに、私を非常に驚かせた男子生徒がいました。

何に驚いたかというと、それは彼の「英作力」です。

通常、受験英語しか学んでいない生徒の場合、かなり優秀・・というか、トップレベルの生徒でも、ただ文法にそって継ぎはぎしただけの、通じるかどうかさえ怪しい英文を書くものです。

ところが、その生徒は、単に通じるを越えて、感動さえ与える達意の英文を書くわけです。

決して難しい単語を使う訳ではなく、シンプルな単語をじつに巧みに使うのです。

大いに驚いた私は、思わず彼に聞きました。

何年ぐらい海外に住んでいたのか、と。

国内でそのような英文を書けるようになる確率は限りなくゼロであることを知っていたからです。

ところが、驚くべきことに、彼の答えは「いいえ」でした。

私の頭は真っ白になりました。

どうにも説明がつかないからです。

―――では、いったい彼の英作力の「秘密」は何だったのでしょうか。

 

それは、彼が“洋楽狂”だった、ということです。

 

洋楽が好きで好きでたまらない。

だから、歌詞を覚えて和訳を確かめるだけでは満足できず、それが「英語で本当にどういう意味なのか」を懸命に調べたそうです。

なるほど・・・私は言葉もありませんでした。

 

何千人と直接教えた生徒の中で、今でも強く印象に残っている生徒のひとりです。