音楽と英語教育
2014年7月1日
音楽と英語教育
――― 一見何の関係もないように思えるが、
私とっては深い関係がある。
音楽は、私たちにとって不可欠のものといって良いだろう。
人間の歴史を通じて、音楽はつねに私たちとともにあった。
苦しいとき、つらいときに音楽は私たちをやさしく包んで癒してくれる。
勇気づけてくれる。
人間らしさ、自分らしさを取り戻すのを助けてくれる。
英語教育にそんな力を与えることができないだろうか
――― それが私がずっと考えきたことである。
なぜ私がそんなことを考えたかというと、
高校のときに英語の勉強で深い絶望感を味わったからである。
英語の先生がこんなことをいうのは不謹慎極まりないかも知れないが、
私は文法が大嫌いだった。
英作文も嫌いだった。
説明がよく分からない上に、減点方式のテスト。
3年間ずっと砂を噛むような思いを味わった。
当時英語を教えていた先生方のキャラによって
かろうじて救われていたような状態だった。
そして、思ったのである。
こんなことが当たり前であっていいはずがない。
全国で何百万人という生徒が、
きっと自分と同じような思いをしているに違いない。
そんな教育ならマイナスだ、と。
その後、さらにつぎのように思うようになった。
「学習者にとってマイナスどころか、これは国家的な損失だ」と。
みんながみんな、英語の達人になる必要なんてない。
そんなことは土台不可能だ。
しかし、せめて英語の学習を充実感のあるもの、さらには楽しいものにしたい。
そして、その結果として、それぞれの学習者が、
自発的に自らの限界に挑戦することができたなら、
それは大きなプラスのエネルギーを生む。
ひとりの人間を選別するのに、
100人が犠牲になるようなシステムは教育ではない。
英語を学ぶことで何かしらの感動が生まれ、
ポジティブなエネルギーが生まれる。
母親が子供に、あるいは父親が子供に、あるいは自分が自分にたいして、
「英語、あまり得意じゃなかったけれど、でも楽しかったよ」とつぶやき、
なぜか元気が出てくる
―――― そんな英語教育を実現したいというのが私の夢だった。
その原点となるコンセプトが、「学習者にやさしい」である。
「学習者にやさしい」というのは決して軟弱なコンセプトではない。
むしろ、学習者ひとりひとりの最大限の可能性を引き出す
「強力なコンセプト」なのである(※)。
(※)私の高校時代のクラスメートに、スターバックス(スタバ)
のCEOを務めた岩田松雄という人物がいる。彼は「ミッション」という
本を書いているが、この書籍を読んだとき私は深く共感した。
マネジメントと英語教育、分野はまったく異なるが、
同じようなミッションを追求している、そう感じたのである。