天才:松本道弘

2014年6月27日

1ヵ月1,000語 「40万人の人生を変えた英単語トレーニング」

今の若い世代の人にはほとんど馴染のない名前かも知れないが、
私が20代~30代のときには、松本道弘氏は英語界では名前の知らない人はいないほどの著名人であった。

この方に触発されて英語の学習を始めた人は数知れない。

実際、私自身がその一人である。
また、同じ通訳学校に通っていたクラスメートもそうであった。
彼は、同氏の著書に触発され、ある大手電機メーカーを辞めて、
英語の道に入り、現在現役の同時通訳者として活躍している。

ところで、どういわけか、松本道弘氏を「天才」と呼ぶ人は少ないが、私は同氏を天才だと思っている。

同氏は決して英語教育の専門家ではないが、鋭い洞察に満ちた著書を何冊か出版しているからである。

その中でも、私が彼を天才だと思わしめた決定的な著書が「シンボル・
ビルディング」であった。

面白いことに、この本で、彼は和文を巧みに利用し、
その中に英単語やその使用例を組み込むという手法を使っている。

日本語を最大限に活用するというのは、私の単語集と同じ発想だが、
同氏の場合には、単語の記憶ではなく、英語の言葉の持つ深さとパワーを伝えるのに活用している。

これだけで十分に天才と呼ぶにふさわしいが、
さらに彼はその試みを「シンボル・ビルディング」と名付けた。
この感性が本当に素晴らしい。
まさしくドンピシャのネーミングだからである。

「シンボル・ビルディング」において、彼が扱っている語句はやさしいものが多いが、
その威力には目を見張るものがある。

通常なら何年も英語圏に住んで、日々使わないと身に付かないような英語的感覚が、
たった数分で身に付いてしまうのである。

つまり、ごくわずかな時間で、日本の英語教育の平和ボケした、
温室育ちの英語感覚を一気にまったく別の次元へと引き上げてくれるのである。

一例をあげると、“part”という言葉だ。

これは、日本人なら誰でも知っている言葉だろう。しかし、私たちは、
この言葉の持つ意味をほとんど理解できていない。
シンボル・ビルディングの発想で学ぶと、この言葉があっという間にネイティブレベルの感覚で使用できるようになる。

“part”は「部分」という意味で、日本語ではTOEICのPart 7といったように、
全体の中の区切られた部分を指す意味で使用されている。

しかし、英語ではそこから発展して「何かの一部」という意味合いで使われることが多く、
さらにそれが「何かに関わっている」という意味につなげられる。

一例を挙げると、“I’m part of the project.”(私はそのプロジェクトに関わっています)などがそうだ。

“part”についてこのような感覚をもつと、英文を読んでいても、その意味するところが明確に分かるようになる。
そして、会話やライティングにおいても効果的に使えるようになる。

私もこれで随分と助けられた。

このように、何でもない言葉の深い点を理解できているかどうかで、
インパクトを持って明確に通じる「斬れる英語」になるか、「なまくら英語」になってしまうかが決まる。

残念ながら、日本人の使っている英語のほとんど全部が、「なまくら英語」である。

ちょっとした工夫で、ネイティブの感覚が身に付くのであるから、
これは非常にもったいない話だ。

★7月頭に発売予定のアプリは和文に英単語が埋められており、和文という日本人の脳にとって、
最も理解しやすい背景から、単語本来の意味や使い方が自然と身に付くようになっています。
是非、お試しください。