Good Luck!  (オーストラリア)

2013年9月29日

この8月11日(2013年)、学生たちとオーストラリアへホームステイ&語学研修に出かけました。

 

ケアンズ経由でゴールドコーストに向かい、そこでホームステイしながら、

グリフィス大学という公立大学の付属の語学学校で授業を受けるというものです。

しかし、行きの飛行機で早くも、予期しない出来事がありました。

――――――

現地までは乗り継ぎも入れて15時間。

空気枕だのアイマスクだのでふくれ上がったバッグをかかえて飛行機に乗り込む。

同じエコノミーだが、学生たちは後部の座席へ。

 

自分の座席を確認すると、二人がけの、通路側。

隣席を見ると・・

なんと、メガネをかけた女の子が座っている。

大学生だろうか。

隣がおじさんだったら嫌だな・・

(自分がおじさんのくせに)そう思っていたので、少し緊張がやわらぐ。

 

ほどなく飛行機は空港を離陸し、夜の闇の中へ。

離陸後しばらくすると仮眠時間になり、ごそごそと“装備品”を用意しつつ、隣の子を見ると、すでに眠る体制に入っている。

座席の上で両足を抱え、薄手の赤いダウンジャケットにくるまり・・。

彼女が何度か通路に出るとき、「いつでもいいですよ」と丁寧に声をかけてあげる。

そのまま何も話さず数時間。

 

それが・・・

 

ケアンズまで1時間程度になったとき、なんと、彼女の方から私に話しかけてきた。

 

「どこに行かれるのですか?」

私 「ゴールドコーストです。あなたは?」

「ブリスベンです。」

私「旅慣れしていますね。」

「いえ、これがはじめての海外旅行です。」

私「えっ」

 

さらに驚いたことに、彼女は学生ではなく、高校を卒業して働いていたという。

それが、この夏、ワーキングホリデー(注)でオーストラリアに行くことに決めた、と。

 

―――21歳。

なぜ?ひとりで?

 

やがて機が高度を落とし始めると、それまで落ち着いていた彼女が、

入国カードや持ち物を何度も何度もチェックしはじめる。

 

ときどき不安そうに窓から外を見ながら。

ケアンズに到着。

 

席を立つ直前に名前を伝える。

英語の勉強で困ったらネットで検索してみて。

「話のタネに」の一言がすぐあとに続いた。

 

飛行機とターミナルをつなぐ通路で学生達を待ったたくさんの人たちが目の前を通り過ぎていく。

その中に混じって彼女が。

通り過ぎたあと、しばらくして、急ぎ足で戻ってくる。

 

「気づきませんでした。すみません。ありがとうございました。」

 

私「気をつけてね。Good luck!」

 

しばらくすると、ガヤガヤと学生たちがやってきた。

さあ、君たちにも“Good luck.”と言わせてもらおうか。

―――――――

 

じつは、私も、学生のとき、この地を訪れたことがありました。

それから30年、ずっと「学習者にやさしい」英語の学習方法を求めてきたわけですが、

彼女の姿に、若き日の自分の姿が重なりました。

 

あなたにも、“Good luck.”という言葉を贈ります。

 

※ワーキングホリデー:1年間、働きながら英語の勉強ができる制度。