国内で英語をマスターした人の勉強法(1)

2014年12月2日

池田和弘

かつて、私のアシスタントをしてくれた人に、日本で英語を学び、仕事で使えるレベルにまでマスターした人がいました。

彼女に、海外の留学経験・居住経験はなく、英会話学校にも週1回1時間、数か月程度ほど行ったことがある程度で、ほぼ100%自学です。

しかし、彼女はTOEICで985点を取っているだけでなく、会話もかなり流暢にできます。これは驚くべきことで、以前にも触れたとおり、TOEICで800~900点を持っていても会話ができなくて困っている人が世の中にはたくさんいます。

TOEIC用の対策勉強をしたところで、行きつくところはその程度です。その点、彼女は「得点を上げるコツ」などには目もくれず、会話力を含めた、英語の実力そのものを伸ばすことによってスコアを上げており、素晴らしいとしか言いようがありません。

さて、日本ではたくさんの人達が英会話にあこがれながら、その夢を実現できずにいるのに、いったい彼女はどのようにして海外にも行かずに英語を仕事で使えるレベルにまでマスターしたのでしょうか。

本人に聞くと、2つの方法を重点的に行ったという事でした。

ひとつは、自分の好きな映画やドラマを見て、あんなふうに英語で言いたい、あんな英語が使えたらクールだ・・と思ったセリフを徹底的に真似して覚え込んだそうです。   映画やドラマが優れている点は、視覚・聴覚を使って、完全に没入できるという点です。 つまり120%の集中が起こる ということです。しかも、それが苦痛でなく、楽しいわけですから、ある意味で理想的な学習方法といえます。

さらに、ここで彼女のセンスのいいところは、決して「英語を英語で理解する」などと非現実的なことを考えず、まず日本語字幕で全体の流れをしっかりと理解し、その上で英語で言いたい感じた箇所を徹底的に攻めたという点です。 つまり、まず「日本語ありき」の発想、「日本語→英語」の発想で勉強したという点です。   「何かを言いたいと思ったときには、まず日本語で考えている」、「日本語で分からない事が英語で分かるはずがない」 ―― 彼女はこの点を何度も繰り返していました。

これは私の理論とも完全に一致しています。   彼女の、この勉強方法を継続するのは簡単ではありません。 “生の英語”は、当然ながら非常に速く、聞き取り辛いですし、知らない単語や言い回しがつぎつぎと出てくるから です。

しかし、今はIT技術が非常に発達していて、彼女のころ(15年ぐらい前)に比べれば比較にならないほど学習 環境が整っていますので、ぜひこの話を参考にしていただければと思います。

彼女が実行したもう一つの勉強方法については、次回にお話したいと思います。