私の英語学習史(7)

2014年4月1日

◆2週間500語の試験

  この記憶法の威力に関しては今でも忘れられないエピソードがある。いつだったか正確には覚えていないが、ある時、祝日か何かの事情で授業が1回飛んだことがあった。そのときは、当然次の授業で2回分の単語がテストされることになったのだが、私の場合覚えるべき単語の数は約500にも達していた。これはとんでもない数である。もう絶対絶命のピンチといっていい。皆さんの中でもこれだけの単語を2週間で覚え切れる自信のある方は少ないと思う。私は自分の開発した記憶方法にすべてをかけ、テストの日を待った

    さて、次の週末がきた。いつもは悠然と構えている一騎当千のクラスメートたちも今回だけは少し緊張気味である。毎回上位2,3名は名前が読み上げられることになっていたので、なおさら気合が入る。さて、テストの結果はどうだったか?-なんと私がトップだったのである!得点は「9」であった。このときは本当にうれしかった。500語もの単語を2週間で覚え、たった10語をテストされてほぼパーフェクトな点を取ったのである。

   2週間で500語! 完全な勝利であった。たかが単語のテストごときのことで騒ぐのもみっともないので、表向きは平静を装っていたが、はっきりいって目はウルウルしていた。絶対絶命のピンチを知恵と敢闘精神の限りを尽くして乗り切る。これほどのスリルと快感はない。このとき以来私は記憶の恐怖から完全に解放された

 

◆速読開眼

   勉強の面ではこれまでのテキストに加えて新たに会話の上級テキスト2冊をこなしていった。また、少し時間が戻るが、大学卒業直後あたりから少しずつニューズウィークを読みはじめていて、通訳学校に通い出したころからは本格的な購読を開始していた。当初は週5ページぐらいのペースであったが、このころにはかなり文体にも慣れ、またつい今しがたお話した記憶方法で語彙が一挙に増えたので、読書量はい1週間に15ページぐらいに増えてた。後半にはタイムも読みはじめた。

    結局、開始から4年半の終わりまでの期間に通算で約1200ページほどは読んだと思う。これとこれまでこなしたテキスト類の音読とで速読力がついた

   ちなみに、英字新聞については事実の羅列ばかりでどうしても興味が持てず、通訳学校の課題で1日1ページほど読むだけであった。読破量は通算してもせいぜい180ページぐらいであろう。洋書はほとんど読んでいない。たぶん3冊ぐらいであろう。この期間が終わった直後に通訳技能検定試験の2級を受けてみたが、難なく合格した。

 

◆スピーキングとライティング

   すでにお気付きかと思うが、私はスピーキング、ライティングの練習をほとんどやっていない。これがいいことであるとはとても言えない。しかし、逆に考えればインプットさえしっかりやれば英語は身につくというひとつの証拠であるとも言える。

   そもそも話す、書くといったって英語そのものが頭に入っていなければどうしようもない。英会話学校などではにわか教師が「さあ、恥ずかしがらずに話しましょう」などと言っているが、これはトンチンカンもはなはだしい。恥ずかしいどころか、みんな積極的に話したいと思っている。しかし、話そうと思っても、”使える形”で単語が頭に入っていないので話しようがないのだ。構文や単語・イディオムは何となくわかるのだが、それがスラスラと出てきてくれないのである。

     私にはこの種のフラストレーションがよくわかる。自分自身が学びはじめの頃に同じような状態だったからだ。適切なインプットなしにアウトプットなんてできっこない!私はこの点を少しおろそかにし過ぎた。

 

◆しつこく、ねちっこく

     最後に、私がつねにしつこくしつこくテキストを復習している点に注意。英語を使う機会の少ないフツ~の人(日本人のほとんど)にとっては復習は必須である。繰り返し繰り返し、しつこく、しつこく、何度も何度も、徹底的にねちっこく、英語を聞き、そして声を出して読む。これが短期上達の最大の秘訣である。

 

….The End