私の英語学習史(4)

2014年4月4日

◆総合力アップを目指す

  英検に2度も破れたばかりか、ご丁寧なことに「判定B」という”地獄への片道切符”を握らされた私は途方にくれた。よくよく語学の才能のない人間だと思った。

    しかし、あきらめなかった。もう意地であった。もう一度やられたら、そのときは机ごと本・ノートの類を背負ってどこかの絶壁から飛び降りるつもりでいた。「絶対にこのままではすまさん!」そんな執念(怨念?)を燃やし、学業そっちのけで英語の勉強に没頭していった。

    英検1級に落ちてからは総合力をつけるため会話のテキストを本格的に勉強しはじめた。手をつけたのは、上級レベルの会話テキストが2冊、中級レベルの会話テキストが1冊であった。これらのテキストはすべてテープも買ってしっかりと聞くことにした。リスニングテストを意識したのである。

 

◆発音の悪夢

   このころ苦労したことに発音があった。受験生時代はローマ字読みやこじつけ読みでも十分通用した(というよりこれが白昼堂々とまかり通っていた)。しかし、実用英語ではそんなデタラメが通用するはずもない。すべて一から全部覚え直しである。これに本当に泣きたくなった。大学4年の男の子が「girl 」、「three」の発音を練習している様をご想像願いたい。これはもう茶番である。

    発音は専門のトレーニングを受けると上達が速いが、独りでも練習は可能だ。方法は、口の形、舌の位置などの発声の基本とリエゾンなどの現象について学び、あとはひたすらテープを聞いてマネをする

   初心者が押さえておくべきポイントは、つづりで見るとまず「th」。これは上下の前歯の間を少し開けておいて、そこに舌を差し込むようにして音を出す。次に「f」と「v」。これは下の唇を前歯に押しつけるようにして音を出す。「r」は舌をスプーン状にして少し口の奥に引っ込め、舌先をどこにもつけずに音を出す。

    あと大切なのは子音の発音である。例えば、「little」という単語があった場合、私たちはこれを「リトル」と読む傾向がある。発音記号で書くと「litolu」である。ところが、実際の発音は「litl」で、全然違う。カタカナだと「リロ」といった感じになる。つまり、日本人は子音を読む場合にすぐに母音をくっつけてしまうクセがあるのだ。それも、もともとそんなクセのあるところに、ご丁寧なことに受験英語で徹底的にこの読み方を訓練(?)するものだから形容のしようもない奇っ怪な発音になってしまうのだ。

     最後に、文章を読む練習をする際には強弱のリズムにも気をつけよう。英語は日本語と違ってはっきりした強弱のリズムがあり、これが文全体の音の流れを決めてしまう。したがって、いくら個々の単語が正しく発音できても、この点をよく理解していないと文を正しく読むことができない。これはもちろん聞き取り力にも直接影響する。

 

◆自信の問題

     発音はべつにネイティブのようにできる必要はない。英語は今や国際語である。世界中でさまざまな人々がさまざまな発音(なまり)で英語を話している。だから、日本人が“日本なまり”で英語を話しても何も不思議なことはない。心配しなくても話の内容というのは前後関係からある程度わかるものだ。したがって、コミュニケーションという観点からは発音にはあまり神経質にならない方がいい

    私が懸念するのはむしろ自信の問題である。発音がある程度できるようにならないと、英語に対してなかなか自信が持てない。これが勉強の上で大きなマイナスになるのだ。いくら音読練習をしても、「本当に正しく読めているのだろうか?」などと不安に思っていたのでは身につくものも身につかない。

     したがって、発音は一応通じるレベルまでには練習してほしい。はじめはもう死ぬほどたいへんだが、根気よく続ければ必ず上達する。発音がうまくなると、読むことが楽しくなるのでグッと勉強がはかどる。ぜひ頑張っていただきたい。

 

...To be continued